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ミカン(サツマ)は約500年前に薩摩(今の鹿児島県)で偶然発生した日本原産のミカンの品種で、海外ではサツマ、日本では温州(ウンシュウ)ミカンという名前で流通しています。
温州ミカンという名前は中国の温州という地名が由来になっていると言われています。
温州はミカンの産地で、温州産ミカンはとても味がよいと有名であったことから、温州産ミカンのように美味しいですよ、と味の良さをアピールする目的で温州ミカンと名づけられたと言われています。
温州ミカンは日本で最も多く収穫されているミカンで、主に食用として活用されてきましたが、2010年頃から国産の植物から作る和精油が注目されるようになると、香料原料としても活用されるようになりました。
ミカン(サツマ)精油は他の柑橘精油に比べると、軽やかで甘い、優しい印象の香りが特徴で、強い香りが苦手なかたにも好まれやすい香りです。
ここではミカン(サツマ)とはどのような植物か?ミカン(サツマ)の精油の香りや特徴、使い方・活用法や、使用する時の注意点などについて紹介します。
ミカン(サツマ)ってどんな植物?
ミカン(サツマ)は紀州ミカンと九年母(クネンボ)が交配して生まれた日本原産の常緑樹で、現在はアジアやアメリカで栽培されています。
樹高は3~5m、樹皮は黒っぽい茶色で、樹齢が進むと縦に筋状の溝ができます。
葉の大きさは10㎝程度で、形は先端の尖った楕円形、葉は硬く、表側は濃い緑色で光沢があり、裏は白っぽい緑色です。
花の大きさは3㎝程度、花びらは5枚で、枝の先端部にある葉の付け根に複数咲きます。
花が終わると直径5~10㎝の少し平べったい円形の果実が実ります。外皮は未熟な時は緑色で、熟すとオレンジ色に変わります。
果実は通常12月頃に実りますが、秋ごろに実をつける極早生や早生、1月頃に実をつける晩生の品種もあります。長い期間果実を楽しむことができますが、どの品種も果実が多く実る年と、あまり実らない年が交互に訪れる隔年結果という性質を持っています。
ミカン(サツマ)は基本的には種ができないため、挿し木(切った枝を植えて発根させる方法)や接ぎ木(他の柑橘の木に枝を接着させる方法)で増やします。
ミカン(サツマ)の使い方・活用法の歴史
ミカン(サツマ)は約500年前から食用品として活用されてきましたが、この頃は武士の時代であったため、ミカン(サツマ)の種ができない性質は跡継ぎができないことを連想させ、縁起が悪いとしてあまり普及していませんでした。しかし、明治時代になると種がなくて食べやすいと評価されるようになり、全国に普及していきました。
1800年代には苗木がアメリカに輸出されるようになり、フロリダやテキサスなどで栽培されるようになっていきました。
この時、ミカンやウンシュウミカンという名ではなく、サツマという名前で呼ばれるように変わっていったのですが、この呼び名の変化に大きく関わったのが1866年~1869年に在日大使を務めていたヴァルケンバーグ将校の妻であると言われています。
夫妻は在日中に薩摩を訪れ、ミカン(サツマ)を食べてとても気に入り、帰国する際に苗木を持ち帰ったそうです。
帰国後、夫人が薩摩産の柑橘という意味でサツマと名付けて紹介していったことで、サツマの呼び名が広がり一般名として定着したと言われています。
1900年代になると、日本では二度の世界大戦により栽培が衰退しますが、戦後労働力が回復し、欧米から新しい農法が伝わったことで、1950年代には以前の水準にまで回復しました。
この頃から生食以外に缶詰やジュースといった加工品としても活用されるようになり、1952年にミカン(サツマ)果汁を使ったポンジュースが発売されました。発売当初は少量の果汁が使われているのみでしたが、現在は国産ミカン(サツマ)果汁100%の商品も販売されています。
現在は世界各地で主に生食やジュースなど食用として活用され、日本では和精油の普及に伴い香料としても活用されるようになり、ルームフラグランスや化粧品用香料としても活用されるようになっています。
ミカン(サツマ)と精油の特徴
ミカン(サツマ)精油の抽出方法
ミカンの果皮から圧搾法で精油を抽出します。精油は薄いオレンジ色です。
ミカン(サツマ)精油の香りの特徴
軽やかな甘さのミカンの香りです。
ミカン(サツマ)精油の香料・原料データ
英名 | Satsuma mandarin サツママンダリン Satsuma orange サツマオレンジ Unshu mikan ウンシュウミカン |
和名 | 温州蜜柑 ウンシュウミカン |
学名 | Citrus unshiu キトルス ウンシュウ |
別名 | サツマ、クリスマスオレンジ |
科名 | ミカン科 |
産地 | 日本(和歌山、三重など) |
精油の抽出部位 | 果皮 |
ノート * | トップ |
精油の主な成分 | リモネン、p-シメン、ミルセン、α-ピネン、リナロールなど |
ブレンド相性 | どの系統の香りとも相性が良いです。 |
*ノートは精油の揮発する時間や香りの持続する時間を表すものです。香り立ちが最も早いが持続時間が短いトップノート、香り立ちはゆっくりだが長い時間香り続けるベースノート、ちょうど中間の性質を持つミドルノートの3つに分類されます。
ミカン(サツマ)の活用法
ミカン(サツマ)だけでも香りを楽しめますが、他の精油を加えることでより香りが豊かになります。ブレンドにおすすめの精油も併せて紹介していますので、基本のレシピに足して使ってください。
またレシピを活用する際は、ミカン(サツマ)の使用時の注意事項、ブレンドとして加える精油の使用時の注意事項のいずれかに該当する項目がないかどうか確認してください。
精油の成分に対する体の反応には個人差があります。気分不快を感じた場合は使用を中止してください。
芳香浴
精油の香りを室内に拡散させ香りを楽しむ方法です。
【レシピ】
ミカン(サツマ)・・・2滴
コットンに精油のミカン(サツマ)を垂らす、もしくはアロマデフューザーを使って香りを拡散させます。
【おすすめのブレンド】
ジンジャー・・・1滴
ジンジャーは皮膚刺激を与える可能性がありますので、肌につけないようにしてください。
ルームスプレー
部屋中に香りを拡散させ香りを楽しむ方法です。スプレーを使う時はその都度、瓶をよく振ってください。スプレーは肌にはつけないようにしてください。
【レシピ】
精製水・・・8ml
無水エタノール・・・12ml
ミカン(サツマ)・・・10滴
無水エタノールに精油のミカン(サツマ)を混ぜ、その後精製水を加えてよく混ぜます。混ぜ合わせた液体をスプレー式の遮光瓶に入れて使ってください。遮光瓶は風通しがよく、直射日光の当たらない涼しい場所に保管してください。スプレーは2週間程度で使い切ってください。
【おすすめのブレンド】
マートル・・・5滴
マートルは妊娠初期(妊娠4か月位まで)の方は使用を控えてください。
ミカン(サツマ)の禁忌・注意点
・敏感肌の方
ミカン(サツマ)は皮膚刺激を与える可能性がありますので、敏感肌の方は使用を控えてください。