目次
サンダルウッドとは
サンダルウッドは樹木で、その種類は数種類あります。
インド原産のサンダルウッドインディアが最も品質が良いとされ、香木や精油にはサンダルウッドインディアを使うことが主流でした。
しかし、近年生育数が減少し絶滅危惧種となったため、現在はサンダルウッドインディアに成分構成が似ているオーストラリア原産のサンダルウッドオーストラリアを活用するようになってきました。
サンダルウッドインディアは、インド政府に管理されています。
日本では白檀(びゃくだん)と呼ばれ、材木は香木、お香や仏具の材料などに、精油はアロマセラピーや香水の香料などに活用されています。
サンダルウッドってどんな植物?
サンダルウッドは、半寄生植物です。
半寄生植物は、他の木に寄生して育ちますが、全ての栄養を他の木に依存する寄生植物とは異なり、自分で光合成した栄養と、寄生した植物から得る栄養で育ちます。
サンダルウッドはヤドリギのように他の木の枝に寄生するのではなく、自分の根を他の植物の根に繋げ、成長します。
サンダルウッドの名前の由来
サンダルウッドいう名前はサンスクリット語で栴檀(せんだん)という植物を意味する「chandana(チャンダナ)」が由来と言われています。
サンダルウッドと栴檀は植物学上別の植物ですが、古くはこの二つの植物が混同されて認識されていたためです。
なお和名の白檀は白い樹皮の栴檀、という意味の白栴檀という呼び名が略されてできた名前だと言われています。
サンダルウッドの分布
サンダルウッドインディアはインドやインドネシア、スリランカなどアジアの熱帯地方に分布していましたが、現在の分布域ははっきりとわかりません。
サンダルウッドオーストラリアはオーストラリア西部~南部、ニューカレドニアなどに分布しています。
他にハワイ島に分布するハワイアンサンダルウッド、ポリネシアンサンダルウッドやフィジーに分布するフィジーサンダルウッドなどがあります。
サンダルウッドの育て方、栽培
サンダルウッドは標高600~1000mの日の当たる場所が生育に適していますが、幼樹の頃に他の木に寄生しないと成長できないため、チークやグアバの木など宿主となる木を植えて育てます。
そのため家庭で育てることができず、栽培が難しいため苗や種の流通はほとんどなく、日本では栽培されていません。
サンダルウッドの使い方、活用法の歴史
サンダルウッドインディアは最も古くから活用されている香料の一つと言われ、紀元前3000年代頃のエジプトでは、ミイラ作りの際に遺体の防腐処理に使われていたと言われています。
また、紀元前383年頃のインドではお釈迦様が入滅し、荼毘に付す時にサンダルウッドインディアの木を使ったそうです。そのためサンダルウッドインディアは仏教には欠かせない香りとして寺院で使うお香や、インドの古い寺院や家財類の材料などに活用されていました。
日本には538年頃、仏教とともに伝わったと言われており、飛鳥時代(西暦592~710年頃)には仏事などに使われていたとされています。その後平安時代には貴族たちが衣類に香りを炊き込む薫物として使用するようになり、宗教的な意味合い以外にも活用されるようになっていきます。
サンダルウッドオーストラリアは、年代は不明ですが、先住民族のアボリジニ達が樹皮を煮出したものを咳止めに、種子を風邪薬として活用していたと言われています。1800年代頃になると木材がお香や仏具の材料として中国や日本など海外への輸出品として活用されるようになります。
また、ハワイアンサンダルウッドやポリネシアンサンダルウッドなど、ハワイに生息するサンダルウッドは全て、「イリアヒ」と呼ばれ、年代は不明ですが古代ハワイ人は樹皮を関節痛の薬として使っていたと言われています。
なおイリアヒは、18世紀頃中国への輸出品として活用されていましたが、過剰な伐採によって生息数が減ったため、50年程度で貿易は終了したようです。
現在は、サンダルウッドインディアの流通が減少していますが、サンダルウッドインディアやサンダルウッドオーストラリアは、お香や精油、仏具の材料などに活用されています。
サンダルウッドのデータ
サンダルウッドインディア
英名 | Sandalwood India |
和名 | 白檀 |
学名 | Santalum album(サンタルム アルブム) |
別名 | イーストインディアンサンダルウッド、ホワイトサンダルウッド、栴檀(センダン)、白栴檀 |
科名 | ビャクダン科 |
産地 | インド、インドネシア、スリランカなど |
精油の抽出部位 | 心材、木部(根) |
ハーブ利用部位 | ― |
スパイス利用部位 | ― |
主な精油成分 | α-サンタロール、β-サンタロール、epi-β-サンタロールなど |
ノート * | ベース |
精油の使用方法 | 芳香浴に使用可。植物油で希釈してトリートメントに使用可 |
ハーブの使用方法 | ― |
スパイスの使用方法 | ― |
サンダルウッドオーストラリア
英名 | Sandalwood Australia |
和名 | 豪州白檀、白檀 |
学名 | Santalum spicatum(サンタルム スピカタム) |
別名 | オーストラリアンサンダルウッド、サンダルウッド・オーストラリアン |
科名 | ビャクダン科 |
産地 | オーストラリア、ニューカレドニアなど |
精油の抽出部位 | 木部 |
ハーブ利用部位 | ― |
スパイス利用部位 | ― |
主な精油成分 | α-サンタロール、β-サンタロール、α-ビサボロール、β-ビサボロールなど |
ノート * | ベース |
精油の使用方法 | 芳香浴に使用可。植物油で希釈してトリートメントに使用可 |
ハーブの使用方法 | ― |
スパイスの使用方法 | ― |
*ノートは精油の揮発する時間や香りの持続する時間を表すものです。香り立ちが最も早く持続時間は短いトップノート、香り立ちはゆっくりだが長い時間香り続けるベースノート、ちょうど中間の性質を持つミドルノートの3つに分類されます。
精油サンダルウッドの禁忌・使用時の注意点
サンダルウッドインディア、サンダルウッドオーストラリアに使用上の禁忌事項は特にありません。
精油サンダルウッドの抽出法、特徴
サンダルウッドインディアは心材と呼ばれる木の中心部や根の部分から、サンダルウッドオーストラリアは木の枝や幹、おがくずなどから水蒸気蒸留法で精油を抽出します。どちらも精油は黄色で、粘り気が強いです。
この二つの精油の香りはどちらも甘いお香のような香りで、香りの持続時間が長いという特徴があるのですが、トップノートに大きな違いがあります。
トップノートとは精油を嗅いだ時にすぐに感じる香りのことで、揮発速度の速い芳香成分により構成されています。
サンダルウッドオーストラリアのトップノートは、少し苦みのあるような香りなのですが、サンダルウッドインディアは揮発速度が遅い芳香成分で構成されているため、トップノートがほとんど感じられません。
サンダルウッドインディアは精油を垂らした直後より、少し時間が経ったほうがしっかりと香りを感じられるようになります。
精油サンダルウッドの活用法
サンダルウッドだけでも香りを楽しめますが、他の精油を加えることでより香りが豊かになります。ブレンドにおすすめの精油も併せて紹介していますので、基本のレシピに足して使ってください。
レシピを活用する際は、サンダルウッドの使用時の注意事項、ブレンドとして加える精油の使用時の注意事項のいずれかに該当する項目がないかどうか確認してください。
精油の成分に対する体の反応には個人差があります。気分不快を感じた場合は使用を中止してください。
芳香浴
精油の香りを室内に拡散させ香りを楽しむ方法です。
【レシピ】
サンダルウッド・・・2滴
コットンに精油のサンダルウッドを垂らして香りを拡散させます。
芳香浴にはアロマデフューザーを使う方法もありますが、サンダルウッド精油は粘り気が強いため、アロマデフューザーをつまらせてしまうことがあります。
【おすすめのブレンド】
イランイラン・・・2滴
イランイランは高濃度で使用すると、頭痛や吐き気などの気分不快を起こす可能性があります。高濃度のレシピではありませんが、気分不快を感じたら使用を中止し、換気してください。
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