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ヘリクリサムとはキク科ヘリクリサム属に属する植物の総称です。
名前の語源は、ギリシャ語で太陽という意味のHelios(イーリオス)と、金という意味のChrysos(クリューソス)です。
Helios Chrysosというスペルがラテン語の読み方、英語の読み方へと変化して、ヘリクリサムとなっていったと考えられており、小さな太陽のような、金色の丸い花を咲かせることから名付けられたと言われています。
またヘリクリサムは、刈り取って乾燥させても色や姿がほとんど変化しないことから、イモーテル(フランス語で不滅という意味)、エバーラスティング(英語で永遠という意味)とも呼ばれています。
ヘリクリサムには500以上の品種がありますが、精油の原料となっている品種はごくわずかで、主に流通しているのはHelichrysum italicum(ヘリクリスム イタリクム)か、Helichrysum angustifolium(ヘリクリスム アングスティフォリウム)から抽出したものです。
ヘリクリサム精油は、抽出に非常に多くの原料が必要であるためとても高価ですが、アロマセアラピーでは美肌作りに役立つ精油として人気があります。
ここではヘリクリサム(イモーテル)とはどのような植物か?ヘリクリサムの精油の香りや特徴、使い方・活用法や、使用する時の注意点などについて紹介します。
ヘリクリサム(イモーテル)ってどんな植物?
ヘリクリサムはヨーロッパ原産の多年草です。地中海沿岸に広く分布しており、特にフランス領のコルシカ島に多く生息しています。温暖で乾燥した気候を好み、岩地でも生育可能です。
草丈は30~60㎝、茎は細くまっすぐで、全体に産毛のような白い毛が生えており、カレーに似たスパイシーな香りがします。地面に近い部分から枝分かれして伸びていくため、1つの根から何本も茎が生えているように見えます。
葉は細く糸のような形で、茎と同じような白い毛がたくさん生えています。葉に光があたると、白い毛が光を反射して銀色に輝いているように見えることから、シルバーリーフと呼ばれています。
花は黄色で丸い形をしており、ミモザの花によく似ています。茎の先端部に複数の花が集まって咲きます。
ヘリクリサム(イモーテル)の使い方・活用法の歴史
ヘリクリサムは、紀元前8世紀にギリシャ人の吟遊詩人ホメーロスが書いたとされる叙事詩「オデュッセイア」に登場しています。
オデュッセイアの主人公、オデュッセウスは傷を負ってコルシカ島に漂着するのですが、そこで光り輝くように美しい肌のナウシカア姫に助けられます。姫が肌の美しさを保つために使っていたのはヘリクリサムの香油で、その香油をオデュッセウスに塗ると、傷が治り、若返ったというエピソードが書かれています。
ヨーロッパではいつから活用されているか不明ですが、オデュッセイアにあるように打撲や火傷、傷の感染予防に良い、傷薬のような薬草として伝統的に活用されていたそうです。
また、咳止め、去痰、利尿、頭痛、アレルギーなど様々な症状に効果がある薬草として、煮だしたり、煎じたりしても活用していたそうです。
現在ヨーロッパでは料理にも活用しています。苦みが強いため食材には適していませんが、スープや煮込み料理の香り付けに活用されています。
世界各地では、ガーデニング用の植物、ドライフラワーとして活用されています。
アロマセラピーでは肌の炎症を抑えることや、肌組織の再生を促すことに役立つ精油と考えられており、フランスのオーガニックコスメブランドのロクシタンからクレンジングや美容液などスキンケア製品が販売されています。
ヘリクリサム(イモーテル)精油の特徴
ヘリクリサム(イモーテル)精油の抽出方法
ヘリクリサムの花がついた茎の先端部から水蒸気蒸留法で精油を抽出します。精油は薄黄色です。
ヘリクリサム(イモーテル)精油の香りの特徴
甘い香りに、ほんのり苦みとスパイシーさが加わった香りです。漢方薬のような香りと表現されることもあります。
ヘリクリサム(イモーテル)精油の香料・原料データ
英名 | Helichrysum ヘリクリサム |
和名 | 永久花 エイキュウカ |
学名 | Helichrysum italicum ヘリクリスム イタリクム Helichrysum angustifolium ヘリクリスム アングスティフォリウム |
別名 | イモーテル、エバーラスティング、カレープラント、イタリアンストローフラワー |
科名 | キク科 |
産地 | コルシカ島、フランス、イタリア、旧ユーゴスラビアなど |
精油の抽出部位 | 花と葉 |
ノート * | ミドル |
精油の主な成分 | 酢酸ネリル、ネロール、β-ピネン、γ-クルクメン、β-カリオフィレン、β-セリネン、イタリネン、β-ジオンなど |
ブレンド相性 | フランキンセンスなど樹脂系の香りやオレンジ・スイートなど柑橘系の香りと相性が良いです。 |
*ノートは精油の揮発する時間や香りの持続する時間を表すものです。香り立ちが最も早いが持続時間が短いトップノート、香り立ちはゆっくりだが長い時間香り続けるベースノート、ちょうど中間の性質を持つミドルノートの3つに分類されます。
ヘリクリサム(イモーテル)の活用法
ヘリクリサムだけでも香りを楽しめますが、他の精油を加えることでより香りが豊かになります。ブレンドにおすすめの精油も併せて紹介していますので、基本のレシピに足して使ってください。
またレシピを活用する際は、ヘリクリサムの使用時の注意事項、ブレンドとして加える精油の使用時の注意事項のいずれかに該当する項目がないかどうか確認してください。
精油の成分に対する体の反応には個人差があります。気分不快を感じた場合は使用を中止してください。
芳香浴
精油の香りを室内に拡散させ香りを楽しむ方法です。
【レシピ】
ヘリクリサム・・・1滴
コットンに精油のヘリクリサムを垂らす、もしくはアロマデフューザーを使って香りを拡散させます。
【おすすめのブレンド】
サンダルウッド・オーストラリアン・・・1滴
サンダルウッド・オーストラリアンは使用上の禁忌事項は特にありません。
ルームスプレー
部屋中に香りを拡散させ香りを楽しむ方法です。スプレーを使う時はその都度、瓶をよく振ってください。スプレーは肌にはつけないようにしてください。
【レシピ】
精製水・・・8ml
無水エタノール・・・12ml
ヘリクリサム・・・3滴
無水エタノールに精油のヘリクリサムを混ぜ、その後精製水を加えてよく混ぜます。混ぜ合わせた液体をスプレー式の遮光瓶に入れて使ってください。遮光瓶は風通しがよく、直射日光の当たらない涼しい場所に保管してください。スプレーは2週間程度で使い切ってください。
【おすすめのブレンド】
オレンジ・スイート・・・10滴
オレンジ・スイートは肌につくと皮膚刺激を与える可能性がありますので、肌につけないようにしてください。
入浴剤
精油の香りをお風呂で拡散させて楽しむ方法です。
【レシピ】
天然塩・・・30g
ヘリクリサム・・・1滴
計量した天然塩に精油のヘリクリサムを加えよく混ぜます。浴槽に入れたらお湯をよくかき混ぜてください。使用期限は1週間程度を目安とし、なるべく早く使い切ってください。
【おすすめのブレンド】
フランキンセンス・・・1滴
フランキンセンスは使用上の禁忌事項は特にありません。
ヘリクリサムの禁忌・注意点
・妊娠中、授乳中の方、小児への使用
ヘリクリサムに含まれているβ-ジオンは神経毒性が示唆されているケトン類という成分です。妊娠中、授乳中の方、小児への使用は控えてください。
・てんかん発作を起こしたことのある方
ヘリクリサムに含まれているβ-ジオンは中枢神経を刺激し、てんかん発作を誘発する可能性があります。てんかん発作を起こしたことがある方は使用を控えてください。
・長期連用について
β-ジオンは長期間の連用により肝臓や腎臓にダメージを与える可能性がありますので、連続しての使用は長くても一週間程度としてください。
・抗凝固薬を服用している方
ヘリクリサムに含まれているβ-ジオンは血液の凝固を阻止する働きがあるとされています。薬の作用に影響を与える可能性がありますので抗凝固薬を服用している方は使用を控えてください。
ヘリクリサム 5ml
アロマ 精油 エッセンシャルオイル
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