栄養素とは?三大栄養素、五大栄養素、六大栄養素それぞれ

栄養素とは?三大栄養素、五大栄養素、六大栄養素「タンパク質」「脂質」「炭水化物(糖質)」「ビタミン」「ミネラル」「食物繊維」または「水」

現在の私たちの生活は、豊富な食材に恵まれ、色々な味の料理を楽しむことができます。

「食」という字は人を良くすると書くように、食事は家族や親しい人たちとのコミュニケーションの場であり、人と人とのつながり、和を作る媒介になり、お正月や節句など、季節ごとに行事や風土と結びついた文化的な側面もあります。

一方で、私たちは生きていくためにエネルギーを必要としますが、そのエネルギーのもとになるのが糖質、脂質です。脂質はホルモンや細胞膜、神経細胞の構成要素にもなります。

また、心臓や肺、胃腸、骨、筋肉など生きていくためにはいろいろな器官の維持も必要で、これらの成分になるのがタンパク質です。タンパク質は糖質、脂質が不足したときにはエネルギーとしても使われます。

このように糖質、脂質、タンパク質はエネルギーや体の構成要素となるため非常に重要なもので三大栄養素と呼ばれます。

しかし、栄養素はそのままでは体の中で使えないため、食べ物から吸収したのち消化器官で分解し使用されます。そのため栄養素について知ることは、日々の献立を考える助けとなり、健康を保つことや病気の治療、回復に役立ちます。

なお、栄養素はその働きによって①エネルギーになるもの②からだをつくるもの③からだの調子を整えるものの3つに分けられます。

バランスのよい食事とはこれらの3つの要素を必要量に見合った分だけ取り入れられる食事を意味しています。

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三大栄養素、五大栄養素、六大栄養素って何?

三大栄養素とは食物中に含まれる身体に必須の成分のうち、特に重要な3つの栄養素のことで、タンパク質、糖質、脂質になりますが、五大栄養素ではこれにビタミン・ミネラルが加わり、六大栄養素では食物繊維もしくは水が加わります。

それぞれの栄養素はどういったもので、人間の体内でどのような働きをし、不足・摂りすぎによってどのような現象が起こるのでしょうか。

タンパク質

タンパク質は人間の体の約20%を締めていて、内臓・骨・筋肉・肌・目・髪・爪など体のあらゆる部分を作る材料になっていています。また代謝に必要な酵素を作ったり、消化器官や脳神経機能を調整するホルモン、病気を防ぐ免疫力の素材としても非常に重要な栄養素です。

さらに糖質や脂質などのエネルギー源が不足しているときは、それらの代わりにもなります。

タンパク質の必要量は代謝の度合いなど様々な条件により異なります。

スポーツ選手など運動量の多い人などは必要量が増加します。

タンパク質が不足すると細胞の材料が不足し、体力低下や体力低下をおこします。タンパク質の約30%を占めているコラーゲンの量が減り、肌が荒れたり、抜け毛が起こったりします。また、筋肉が減り、代謝機能も下がり太りやすくなったり、免疫力も下がり病気にもなりやすくなります。血管も弱くなるので高齢の方は脳卒中のリスクも高くなります。

一方、過剰摂取すると、タンパク質は体内に貯蔵されないため、余分なタンパク質は尿として排泄されます。そのため、タンパク質を取りすぎた場合、腎臓に負担がかかるため、腎臓が弱い人が過剰にタンパク質をとり続けると腎臓を悪化させる恐れがあります。

体内で吸収されなかったタンパク質はそのまま腸内に送り込まれますが、腸内に送られたタンパク質は悪玉菌の餌になり、腸内環境の乱れも生じやすくなってしまいます。また、タンパク質の多い食品はカロリーの高いものが多く、タンパク質にもカロリーがあるため、カロリーが消費しきれず、肥満になりがちです。

糖質

糖質の人体における主な働きとは、私たちが活動するためのエネルギー源となることです。

糖質は炭素、酸素、水素が結合した物で、体内で二酸化炭素と水に分解されすぐにエネルギーを発生します。すなわち体内に取り込まれた糖質の多くは、消化・吸収を経てブドウ糖に分解され、血液を通して全身に運ばれてエネルギーとして活用されます。そのため、三大栄養素である炭水化物・タンパク質・脂質は全てエネルギー源となりますが、この中から糖質が真っ先に使われます。

糖質の摂取を極端に制限すると、肝臓に蓄えてあった糖質を使って糖を補おうとします。これを使い果たすと、糖質の不足分を補うためにタンパク質や体脂肪を分解し、エネルギー源として使われます。

しかし、タンパク質の過剰な分解は、筋肉量を減少させ、基礎代謝を低下させてしまいます。また、ブドウ糖は脳にとって唯一のエネルギー源です。糖質が不足してブドウ糖が十分に届けられなくなると、集中力の低下など脳の働きを妨げてしまいます。

なお、ダイエットによる糖質制限により、直後に体重が落ちるのは、肝臓にある糖分が利用されることで、同時に水分も利用され、水分が減っているためです。脂肪の燃焼によるものではないので注意が必要です。

逆に、糖質を摂りすぎると、余分なブドウ糖が脂肪に変換され、体脂肪として肝臓や脂肪細胞に蓄えられてしまいます。そのため、糖質の取りすぎは肥満につながります。

一般的に女性は体脂肪が多く、男性はタンパク質が多いです。

なお、体内で糖質がエネルギーに変わるためにはビタミンB1が必要です。

運動し糖質をエネルギーに変える際には、ビタミンB1も一緒に取るようにしましょう。

脂質

脂質は三大栄養素の中でも最も高いエネルギー源であり、タンパク質や糖質が1g当たり4kcalのエネルギーであるのに対し、脂質は1g当たり9kcalのエネルギーを持ちます。そのため採取するのに少ない量の食事ですむため効率よくエネルギーを充足できます。ホルモンや細胞膜、核膜、神経組織を構成したり、皮下脂肪として、臓器を保護したり、身体を寒冷から守ったりする働きがあり、細胞膜を構成するためエネルギーを貯蔵します。

また、脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)の吸収を促すなど、重要な役割を担っています。

脂質が不足したりバランスが欠けたりしてしまうと、脳への情報伝達がうまくいかなかったり、集中力の欠如や冷えなど様々な不調を引き起こします。さらに、タンパク質と一緒に細胞膜を作るため、脂質が不足すると脳出血の可能性が高まったり、ダイエットなどで極端に油脂成分を控えると肌が荒れたり髪のツヤがなくなりするので注意が必要です。

また、脂質は食欲を高め、また水分がなくても採取できるため脂肪量の多い食べ物は食事の量を増やします。そのため、摂りすぎにより中性脂肪が増え肥満になりやすく、また悪玉コレステロールを増加させ動脈硬化の原因になるなど生活習慣病の発症につながると言われています。

さらに内臓脂肪となって蓄積されていくと、血管の収縮やインスリン機能の低下などを引き起こし、高血圧や高血糖につながります。

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ビタミン

ビタミンは、タンパク質、糖質、脂質の三大栄養素の働きを補助します。骨や皮膚、血管など身体のあらゆる所に存在し、生理機能の維持やエネルギーの代謝に関わり、健康を維持します。そのため三大栄養素のようにエネルギーや体の組織を作る成分にはほとんどなりません。

ビタミンの必要量は微量ですが、体内でほとんど作られないか、作られても必要量には足りないため、必ず食事から取る必要があります。不足するとビタミン特有の欠乏症が起こります。

人に必要なビタミンは機能により13種類がありますが、水や油への溶けやすさで脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンの「二分類」に大別されます。

(1)脂溶性ビタミン
水に溶けず油に溶けやすいため、油と一緒に摂取すると吸収がよくなります。熱にも強いので、食材を加熱してもビタミンは抜けません。

脂溶性ビタミンには、
目に作用し、視覚を維持、皮膚や粘膜の健康を維持するビタミンA
骨の形成に必要なビタミンD
抗酸化作用があり、老化を予防するビタミンE
血液凝固作用に必要で、骨の形成にも関与するビタミンK
の4種類あります。

(2)水溶性ビタミン
ビタミンB群とビタミンCがあり、水に溶けやすく油脂に溶けにくい性質です。また、熱に弱いので、加熱すると食べ物に含まれるビタミンは減少します。

水溶性ビタミンは過剰に取っても尿に溶けて排泄され、体内に蓄積されないため少量をこまめに摂取することがポイントです。

過剰症はとくにありませんが、一部の水溶性ビタミンではサプリメントで大量に摂取すると、吐き気、下痢、腹痛、かゆみなどを生じる例がある為、適正量の摂取が大切です。

疲労回復、糖質の代謝、神経機能維持に必要なビタミンB1
体の細胞の新陳代謝、糖質、脂質、アミノ酸代謝に必要なビタミンB2
アミノ酸の代謝に必要なビタミンB6
血液の形成、神経細胞の機能維持に必要なビタミンB12
鉄瓶の吸収、コラーゲンの生成に必要なビタミンC
血液形成に必要で妊婦・授乳婦への摂取を推奨する葉酸
エネルギー代謝において重要なナイアシン、糖質、脂質、アミノ酸の代謝に必要なビオチン・パントテン酸
の9種類あります。

ミネラル

自然界には100種類の元素があり、そのうち60種類の元素が人体を構成します。最も多いのが酸素で65%、次に炭素18%、水素10%、窒素3%で、これら4元素で96%を占めていますが、残りの4%全てをミネラル(無機質)といいます。

このうち1日の必要量が100㎎以上のものを主要ミネラルといい、カルシウム、リン、カリウム、イオウ、ナオリウム、塩素、マグネシウムの7種類あります。一方、1日のミネラルの必要量が100㎎未満のものを微量ミネラルといい、鉄、亜鉛、銅、ヨウ素、セレン、マンガン、モリブデン、クロム、コバルトの9種類あります。

なお、厚生労働省が摂取基準を決めているのは、イオウ、塩素、コバルトを除く13種類です。

ミネラルのうちカルシウムやリン、マグネシウムなどは骨や歯を形成したり、鉄やリン、イオウなどはタンパク質や脂質と結合し体の成分となったり、ナトリウム、カリウム、塩素、マグネシウム、リンなどは筋肉の収縮や神経の伝達に必要です。

ミネラルは体内で合成されないため、食事からとる必要がありますが、ミネラルが不足すると、身体に様々な不調が現れてきますが、摂りすぎた場合にも過敏症や中毒を起こすものがあるため注意が必要です。

食事から摂取できるミネラルの量は限られている為、ミネラル不足になった時は、安全で良質なサプリメントで補うことが必要です。

食物繊維

食物繊維とは人の消化酵素で分解されない食物中の総体として定義されています。水に溶ける水溶性食物繊維と溶けない不溶性食物繊維の2つに大別されています。

食物繊維は体内には吸収されませんが健康のためには重要な役割を果たしており、六大栄養素としても注目されています。

(1)水溶性食物繊維
水溶性食物繊維は、水に溶けやすく、水に溶けるとゼリー状になります。小腸での栄養素の吸収の速度を緩やかにし、食後の血糖値の上昇を抑える効果があります。また、コレステロールを吸着し体外に排出することで血中のコレステロール値も低下させます。さらに、ナトリウムを排出する効果もあるので、高血圧を予防する効果もあります。食物繊維は低カロリーで肥満の予防にもなるので、動脈硬化など、様々な生活習慣病の予防にも効果があります。

(2)不溶性食物繊維 
水に溶けにくい不溶性食物繊維は、水分を吸収して便の容積を増やします。便が増えると、大腸が刺激され、排便がスムーズになります。また、有害な物質を吸着させて、便と一緒に体外に排出するため、腸をきれいにして大腸がんのリスクを減らしてくれます。

また、どちらの食物繊維も大腸内の細菌により発酵・分解され、ビフィズス菌などの善玉腸内細菌の餌になるため、善玉菌が増え、腸内環境が改善されます。

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