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アニスはアニスシード、アニシードとも呼ばれるセリ科の植物の種から採れる精油です。
アニスの種は甘い香りと味を持つスパイスとしてお菓子やお酒など私たちの身近なところで活用されています。
ここではアニスとはどのような植物か?使い方の歴史、アニスの精油の香りや特徴、具体的な使い方・活用法や、使用する時の注意点などについて紹介します。
アニスってどんな植物?
アニスはギリシャ、エジプトなど地中海東部〜中近東が原産地と言われているセリ科の一年草です。消化を促進するスパイスとして古くから世界各国で使われていました。
日本でも栽培が可能で、細い茎に鳥の羽のような形の葉をつけた植物で、夏頃に小さな白い花をつけます。
アニスの葉はスープやサラダ、種はパンやお菓子などアニスの甘い風味を使う料理に使えますので、ハーブとしても人気の植物です。
なお、アニスと名前が似て間違えやすい植物に、スターアニスがありますが、スターアニスは八角というスパイスが採れるシキミ科の植物で、アニスとは全く別の植物です。
植物のアニスの使い方・活用法の歴史
アニスはエジプトで発見された最も古い医学書「エーベルス・パピルス」という書物の中に登場しており、古代エジプトではミイラの防腐剤の一つとして使われていたとされています。
また、古代ローマの監察官(古代ローマの高位の政務官職のひとつ)カトーが著した「農業論」の中で、ワインケーキに使うスパイスの一つとしても登場しています。
このワインケーキは、当時高価であった東洋のハーブやスパイスを使わず、身近にあるアニスやワインなどを使って作ることができるケーキで、上流階級の人たちの過度な贅沢を抑えるために考案されたといわれています。ワインケーキは、祝宴のデザートとして出されていたのですが、アニスには健胃作用があるため、祝宴で食べ過ぎたあとの胃もたれの軽減に役立ったそうです。
この祝いの席でデザートとしてケーキを出す習慣が、結婚式でウエディングケーキを振る舞う習慣の原型ではないか、という説もあります。
13世紀頃のイギリスでは、アニスは輸入に頼っていたため希少価値が非常に高く、商人たちがアニスの積み荷を乗せてロンドン橋を通過する際には特別な税金を徴収し、イギリスはその税金でロンドン橋の修繕費を賄っていたといわれています。
18世紀のフランスでは、アニスを使ったアニゼットという薬酒が誕生しました。
マリー・ブルザールという看護師がアニスを使った薬酒の作り方を船乗りから聞き、アニゼットと名付けて販売したところ、体に良く美味しいと、人気の酒になったそうです。
彼女が立ち上げた会社は、今も「マリーブリザール社」というリキュールメーカーとして存在しています。
現在アニスの甘い風味は、ヨーロッパやアジアなどで、お酒やケーキ、お菓子や料理の風味付け、また香りと甘い風味を付ける目的で歯磨き粉、洗口液などのオーラルケア製品に使われています。
精油アニスの特徴
アニス 精油の抽出方法
アニスの種子を乾燥させてから、水蒸気蒸留法で精油を抽出します。抽出された精油は無色で甘い香りがします。
アニスの精油はどんな香り?香りの特徴
アニスは甘い香りではあるのですが、ほのかなスパイシーさ、苦さなども感じることができます。
アニスの主成分はトランスアネトールで、アニスの全成分のおよそ8割をこの成分が占めています。トランスアネトールは甘さとスパイシーさを併せ持ち、アニスの香りはこの成分によるものです。
アニスのデータ
英名 | Anise |
学名 | Pimpinella anisum |
科名 | セリ科 |
産地 | ギリシャ、エジプトなど地中海東部 |
精油の抽出部位 | 果実(種子) |
ノート * | トップ~ミドル |
精油の主な成分 | トランスアネトール、エストラゴール、アニスアルデヒドなど |
ブレンド相性 | ローズウッド、サンダルウッドなどの樹木の香りや、フェンネルなどハーブ系の香りと相性が良いです。 |
禁忌・注意 | 妊娠中、授乳中の方は使用を控えてください。 敏感肌の方は使用を控えてください。 お子様への使用は控えてください。 |
*ノートは精油の揮発する時間や香りの持続する時間を表すものです。香り立ちが最も早いが持続時間が短いトップノート、香り立ちはゆっくりだが長い時間香り続けるベースノート、ちょうど中間の性質を持つミドルノートの3つに分類されます。
アニスの使い方・活用法
アニスを活用するためのレシピを紹介します。
精油は単体でも活用できますが、ブレンドすることで、精油をより効果的に活用することができ、芳醇な香りを楽しむことができますので、おすすめのブレンドレシピも合わせて紹介します。
なおレシピを活用する際は、アニスの使用時の注意事項、ブレンドとして加える精油の使用時の注意事項の両方に該当する項目がないかどうか確認の上、使用してください。
精油の成分に対する体の反応には個人差があります。気分不快を感じたり、合わないと感じた場合は使用を中止してください。
・ルームスプレー
空間にスプレーすることで、速やかに香りを拡散させ楽しむ方法です。気分を変えたい時、空間に数回スプレーしてください。スプレーを使う時はその都度、瓶をよく振ってからお使いください。
香りを楽しむことを目的にしており、肌につけるには少し濃い濃度となっています。スプレーは肌にはつけないようにしてください。
【レシピ】
アニス・・・4滴
無水エタノール・・・12㏄
精製水・・・8㏄
無水エタノールに精油のアニスを混ぜ、その後精製水を加えてよく混ぜます。混ぜ合わせた液体をスプレー式の遮光瓶に入れて使ってください。遮光瓶は風通しがよく、直射日光の当たらない涼しい場所に保管してください。スプレーは2週間程度で使い切ってください。
【おすすめのブレンド】
ローズウッド・・・8滴
ローズウッドには特に禁忌事項はありません。
アニスの禁忌・注意点
・妊娠中、授乳中の方
エストロゲン作用のある精油は、流産を誘発する可能性があるとされています。アニスの主成分であるトランスアネトールはエストロゲン様作用を持つ成分ですので、妊娠中の方は使用を控えてください。また、大量に使用した場合、神経毒性を示すとされています。安全のため、授乳中の方は使用を控えてください。
・敏感肌の方
敏感肌の人は肌に刺激を感じる場合があります。使用中に肌に異常を感じた場合は、すぐに使用を中止し、ぬるま湯で洗い流してください。
・小児、乳幼児
刺激のある成分を含む精油です。体の小さなお子様への使用は控えてください。
危険性があるため回避すべきアニスの使い方
アニスの作用の中には、昔は活用していたけれど、今は活用しなくなった使い方や、はっきりしていない作用があります。アニスにまつわる話ということで紹介しますが、実際に活用することは控えてください。
母乳が出ない時
トランスアネトールには催乳作用があります。そのため、母乳が出ない時に使われてきたとされているのですが、現在は授乳中の方の使用は禁忌となっています。
トランスアネトールはフェノールエーテル類というグループの成分なのですが、このフェノールエーテル類には神経毒性というめまいなどを引き起こす性質があり、大量に使う場合には注意が必要とされています。通常使う程度であれば影響はない、催乳作用というメリットを活かすことができる、とも言われていますが、アニスの授乳についての安全性についてはまだ見解が様々であるため、母体や乳児の安全を考え、授乳中の方の使用は禁忌となっています。
皮膚の感染症
トランスアネトールには殺虫・殺菌作用がありますが、精油のアニスは皮膚刺激がある成分を含んでいますので、肌に使うことには適していません。そのため現在は、皮膚の感染症に対して実際に活用することはあまりありません。
口臭の予防
アニスは歯磨き粉や洗口液に使われることも多いのですが、これは口臭予防というよりは、アニスの甘みのある香りと味がミントの辛さや爽快感を適度に緩和し、使いやすい香りや味にするためのミントのサポートとして活用されている、と言われています。
また、アニスはミイラの防腐だけではなく、消臭も兼ねていた、という説もあるのですが、アニスの消臭作用に関しては名前の似ているスターアニスの持つ消臭作用と混同されている可能性もあり、はっきりしていない部分もあります。
そのため、精油のアニスを口臭予防に使うことは控えてください。