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ウインターグリーンの精油は、「冬緑油」「湿布のアロマ」とも呼ばれており、湿布に似た香りがします。
ウインターグリーンの成分は市販の鎮痛消薬に使われており、肩こりや筋肉疲労、関節炎によく効く、とされています。しかし、ウインターグリーンの成分は刺激が強いため、使い方には注意が必要です。
ここではウインターグリーンとはどのような植物か?使い方の歴史、ウインターグリーンの精油の香りや特徴、使い方・活用法、どんな時に役立つのか、安全に活用するための使用するときの注意点などについて紹介します。
ウインターグリーンってどんな植物?
ウインターグリーンは、北アメリカ東北部が原産の樹高10㎝~20㎝の常緑樹です。ヒメコウジ、チェッカーベリー、ゴールテリアとも呼ばれており、日本でも観賞用として販売されています。
6~7月頃に白いスズランのような花をつけ、11月頃に1㎝程度の赤い実をつけます。この赤い実は先端部が中心から5つに裂けたような変わった形をしており、春先まで楽しむことができます。
赤い実をつけたウインターグリーンの枝は、クリスマスリースとしても活用されています。
ウインターグリーンの香りの使い方・活用法の歴史
ウインターグリーンの葉は、古くから鎮痛剤や風邪、腎臓病を改善する薬として使われてきました。ネイティブアメリカンは、その葉を揉んで湿布のように使ったり、頭痛時や、発熱時にお茶として飲んでいたと言われています。
また、ウインターグリーンの葉のお茶が、独立戦争の時にアメリカで紅茶の代用品として飲まれていた、という説もあります。代用品はアメリカンコーヒーであったとも言われており、はっきりとはしておりません。
近代においても、ウインターグリーンは市販の湿布薬など、外用の消炎鎮痛剤に活用されてきました。さらに、甘みのあるミントのような香りが好まれ、洗口液やガム、キャンディなどの香りづけにも使われていました。
しかし現在は、これらの製品に天然のウインターグリーンが使われることはほとんどなくなり、ウインターグリーンの成分を人工的に作ったものが使われるようになっています。
現在も天然のウインターグリーンが使用されている製品には、ルートビアがあります。ルートビアはアメリカで人気の高い甘いビールのような清涼飲料水で、複数のハーブの成分を使用して作られています。沖縄のA&Wレストランで提供されており、日本でも購入が可能です。
ウインターグリーン 精油の特徴
ウインターグリーン精油の抽出方法
ウインターグリーン精油は、水蒸気蒸留法で抽出されます。
精油の抽出にはウインターグリーンの葉の部分を使うのですが、収穫してすぐには蒸留せず、1~3日程度お湯に浸けてから蒸留します。お湯に浸けてから蒸留するのは、ウインターグリーンの主成分である、サリチル酸メチルを生成するためです。
サリチル酸メチルはウインターグリーンの成分の90%以上を占める重要な成分です。ですが、この成分はウインターグリーンの葉に常に存在している成分ではなく、ウインターグリーンの葉が虫に食べられるなどして傷ついたときに、身を守るために作られる成分です。
お湯につけることでサリチル酸メチルが生成される環境を人為的に作れるため、このような方法で蒸留されています(温度が上がることで酵素が活性化し、配糖体という成分が分解されるのですが、その過程でサリチル酸メチルが産生されます。)。
ウインターグリーンはどんな香り?香りの特徴
ウインターグリーンの香りは湿布に似ていますが、湿布に比べると甘みが強く、ミントガムやミントキャンデイのようだと表現されることもあります。
ブレンドするときは、ウインターグリーンと系統の似たハーブ系、樹木系の香りと相性がいいです。
ウインターグリーン 精油の色
ウインターグリーンの精油の色は、色味に幅があり、薄黄色~少しピンク色に近い黄色です。
これは、産地により成分に違いがあるためで、ウインターグリーンに微量含まれているオイゲノールという成分の量により色味が変わると言われています。
色の違いによる品質の違いは特にありません。
ウインターグリーンの精油を買う時の注意
ウインターグリーンは、他の精油に比べ流通の少ない精油です。
これは、ウインターグリーンの成分の90%以上を占めるサリチル酸メチルを合成したサリチル酸メチルができたこと、ウインターグリーンの成分にとてもよく似たバーチという精油があることなどのため、使用される機会が減り、生産が減ったためと言われています。
また、市販されている多くのウインターグリーンの精油には合成のサリチル酸メチルが使用されている、と言われています。
精油の香りを嗅いでも、合成のサリチル酸メチルかどうかの判別は難しいため、ラベルで学名や産地を確認するだけではなく、信頼できるメーカーからの購入が望ましいです。
ウインターグリーンのデータ
英名 | American Wintergreen |
学名 | Gaultheria procumbens |
科名 | ツツジ科 |
産地 | カナダ、中国など |
精油の抽出部位 | 葉 |
ノート * | ミドル |
精油の主な成分 | サリチル酸メチル(90%以上)、オイゲノール、αピネンなど |
ブレンド相性 | ペパーミントやローズマリーなどのハーブ系、ユーカリやジュニパーなどの樹木系と相性が良いです。 |
禁忌・注意 | 長時間の使用は控えてください。 一日に何度も使うことは控えてください。 妊娠中、授乳中の使用は控えてください。 お子様への使用は控えてください。 刺激の強い精油ですので、肌に使用する時は高濃度での使用は控えてください。 |
*ノートは精油の揮発する時間や香りの持続する時間を表すものです。香り立ちが最も早いが持続時間が短いトップノート、香り立ちはゆっくりだが長い時間香り続けるベースノート、ちょうど中間の性質を持つミドルノートの3つに分類されます。
ウインターグリーンの使い方・活用法
ウインターグリーンは刺激の強い精油ですので、日常的に使用することには向いていません。気分不快を感じたときは、ただちに使用を中止してください。
レシピを活用する際は、ウインターグリーンの使用時の注意事項、ブレンドとして加える精油の使用時の注意事項の両方に該当する項目がないかどうか確認の上、活用してください。
なお、精油の成分に対する体の反応には個人差があります。気分不快を感じたり、肌に合わないと感じた場合は、使用を中止してください。
・芳香浴
精油の香りを瞬間的に匂う方法です。
【レシピ】
ウインターグリーン・・・1滴
コットンやティッシュペーパーに精油を垂らし、香りを楽しんでください。部屋全体に香りを拡散させて楽しむこと、長時間嗅ぐことは不向きな精油です。香りを嗅いだ後は、コットンやティッシュペーパーは処分し、しっかりと換気してください。
【おすすめのブレンド】
ペパーミント・・・1滴
ペパーミントは高血圧の方、妊娠中、授乳中の方、てんかん発作を起こしたことがある方は使用を控えたほうがよい精油です。該当する方は使用を控えてください。
ウインターグリーンの禁忌・注意点
・持病がある方、お薬を飲んでいる方
薬の作用に影響を及ぼす場合があります。主治医に相談のうえ、精油を使用してください。
・妊娠している方
体に蓄積することで中毒を起こす可能性があるとされる精油です。安全のため使用は控えてください。
・小児、乳幼児
刺激の強い精油です。小児や乳幼児への使用は控えてください。
・アスピリンアレルギーを持っている方
アスピリンに対してアレルギーを持っているは、症状を誘発する可能性があります。使用を控えてください。
・肌につけて使う時
刺激の強い精油ですので、高濃度、長期間の使用は控えてください。また、継続的に使うことは適さない精油ですので、単回での使用としてください。
また敏感肌の方は、使用を控えてください。
使用している時に肌に異常を関したら、すぐにぬるま湯で流してください。
・室内で使用する場合
長時間嗅ぐことで体調が悪くなる可能性があります。芳香浴など部屋に香りを拡散させる使い方は避けてください。香りを嗅ぐときは数回嗅ぐ程度とし、精油を使用した後は十分に換気してください。
ウインターグリーンの精油の安全性
ウインターグリーンは成分の90%以上がサリチル酸メチルです。この成分は抗炎症薬や鎮痛薬などに使用されていますが、毒性が強いため使う時には注意が必要です。
サリチル酸メチルを皮膚に塗布することで、成分が体内に吸収され、ある程度の量が体内に吸収されると中毒を起こす、という研究結果が紹介されている本(アロマセラピー完全ガイド(上巻) サルバトーレ・バタリア著)もあり、一日に何回も皮膚につけることは避けるべき精油です。中毒の兆候としては、熱が出る、血圧が上がる、呼吸が早くなるなどの症状があり、重症になると昏睡状態にまで至ると言われています(合成のサリチル酸メチルは、薬局でよく見かける洗口液や湿布など、多くの製品に含まれており、間違った使い方をしなければ、役立つ成分ではあります。)。
そのためウインターグリーンの精油は、毒性が強いグループに入り、アロマセラピーでの使用は控えるべき、としている本もあります。よって、使い方の注意点を理解し、慎重に使うことが必要です。
なお、日本において精油を飲むことはありませんが、経口摂取した場合、子どもであればスプーン一杯程度の量で致死量になります。家庭で保管する場合は、子どもが間違って触ったりしないように、鍵のかかる場所や手の届かない場所に保管してください。
ウインターグリーンと薬
ウインターグリーンの主成分であるサリチル酸メチルは、ワルファリンなどの抗凝血剤の作用を増大させると言われています。血をサラサラにする薬を飲んでいる方は、香料としても肌につける物としてもウインターグリーンの使用は控えてください。
また、サリチル酸メチルとアスピリンの成分であるアセチルサリチル酸はどちらもサリチル酸化合物であり、似た働きを持つため、アスピリンアレルギーがある方はウインターグリーンを使用しないほうがいいのではないか、と言われています(アスピリンアレルギーとは、アスピリンを代表とする非ステロイド性抗炎症薬を使用すると喘息や蕁麻疹などの症状をきたす薬剤アレルギーです。)。
ウインターグリーンとアスピリンアレルギーに関連があるのかどうか、はっきりとはしていませんが、安全のためアスピリンアレルギーの方は使用を控えることをおすすめします。
なお、ウインターグリーンを使用するとドーピング違反となる、検査に引っかかるという話もあります。しかし、ウインターグリーンとドーピングの関連は明らかではありません。
ウインターグリーンを使いたいけれど、スポーツをしていて禁止薬剤に該当するのか心配な時は、各競技団体に確認するようにしてください。