精油(エッセンシャルオイル)の安全性。安全な選び方、使い方、注意事項・禁忌

精油(エッセンシャルオイル)を安心して使うための安全な選び方、使い方、注意点・禁忌

精油(エッセンシャルオイル)は日本では「雑貨」扱いであるため、アロマセラピーの専門店だけでなく、雑貨店や書店、ネットショップなど様々な店で売られ、誰でも自由に購入し使うことができます。

しかし精油は、100%天然の植物から芳香成分を抽出したものを成分調整のための添加や除去などを一切せず、そのまま凝縮したものであるため自然界に存在するものではなく、さらにフランスやベルギーでは「医薬品」として扱われるほどのものですので、薬理成分の集合体です。

そのため、精油には体に有用な成分がたくさん含まれますが、毒性の成分を含むことがあり、精油の種類や使い方、使う対象者によっては体に悪影響を与えることがあります。

このように、精油は医薬品や医薬部外品ではありませんが、使うときには注意を必要とするものです。

ここでは精油を安心して楽しむために、安全な選び方、使い方、注意点・禁忌について紹介します。

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精油の安全な選び方・購入時の注意点

精油を安全に使うためには、精油の情報を正しく理解して選ぶことが大切です。

間違った精油選びは、皮膚に炎症を起こす、気分不快などのトラブルを引き起こすこともあります。

精油を選ぶ時は必ず確認してください。

学名を確認する

精油を購入する時は、学名の確認が大切です。

これは、ラベンダーなど一般的な精油の種類を区別するための呼び名は英名ですが、英名は全世界共通のものではなく、国によって異なることや、また複数の植物を一まとめにして呼んでいることもあり、英名だけを確認しても、品種によっては自分が欲しい精油ではないことがあるためです。

例えば、ラベンダーという英名の精油には「Lavandula angustifolia(ラヴァンドゥラ アングスティフォリア)」や「Lavandula latifolia(ラヴァンドラ ラティフォリア)」という学名の精油があります。この二つの精油は原料となる植物が違います。そのため精油の含有成分が異なり、精油の性質も香りも全く違います。

その点、学名は全世界共通で、植物の品種ごとにつけられた名前です。学名はラテン語で覚えにくいですが、正確に精油を選ぶためには学名で確認することが重要です。

抽出部位を確認する

同じ学名の植物から採取された精油でも、抽出部位によって異なる名前の精油があります。

例えばオレンジ・ビターの植物の学名は「Citrus aurantium」ですが、オレンジ・ビターの果皮から採れる精油はオレンジ・ビター、花から採れる精油はネロリ、葉や小枝から採れる精油はプチグレンと、抽出部位によって精油の名前が異なり、精油の性質も香りも異なります。

このような精油は多くはありませんが、同じ学名の植物から採れる精油でも抽出する部位により性質も香りも異なりますので購入する際は学名だけでなく、抽出部位も確認することが大切です。

植物の生育地を確認する

植物の学名、抽出部位が同じでも、生育地により精油の成分が異なるものがあります。

これは、植物が生育する場所により日照時間や温度、風雨などの環境が異なるためです。

ケモタイプ

同じ学名を持つ植物でも、生育地が違うと植物が持つ成分の種類や比率が大きく異なる場合があり、そのような植物から採れる精油をケモタイプ(Chemotype)または化学種と呼びます。

例えば、ローズマリーという英名の精油にはローズマリー・シネオール(Rosmarinus officinalis ct.cineole)、ローズマリー・カンファー(Rosmarinus officinalis ct.camphor)、ローズマリー・ベルベノン(Rosmarinus officinalis ct.verbenone)というケモタイプが存在し、それぞれ違う成分構成であり、精油の性質や香りが違います。

これらの精油はラベルにはローズマリーとしか記載していない場合があります。ケモタイプの精油は学名の最後に必ずct.○○(成分名)と書かれていますので、購入・使用前には必ず学名を確認するようにしてください。

精油の成分を確認する

精油の性質や香りは、精油の成分によって決まります。

精油の成分は、販売メーカーのホームページに記載してありますので、必ず確認するようにしてください。

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精油の安全な使い方

精油の使用期限に注意する

開封した精油の使用期限は圧搾法で抽出した精油は半年、それ以外の抽出法で抽出した精油は一年が目安となっています。この期限を過ぎた精油は成分が変化している可能性がありますので使用しないようにしてください。

未開封のものはラベルに表示してある期限内に使用してください。

期限を過ぎた精油は劣化により成分が変質することで、本来は安全な成分が毒性を持つ成分に変化することもありますので、使用しないでください。

精油を適切に保管する

精油は揮発性物質であるため、保管が適切でないと、使用期限よりも早く劣化し、成分変化により性質が変わってしまいます。また場合によっては、精油の劣化により異臭が発生したり,皮膚に付けた時に障害を起こしたりすることがあります。

精油の劣化の原因は、紫外線や熱、湿度、空気ですので、精油を保管する時はこれらの要因の影響をなるべく少なくするために、紫外線を遮断する遮光性の容器に精油を入れて、しっかりと蓋を閉め、直射日光の当たる場所や、浴室など湿度の高い場所には保管しないでください。

精油は飲まない

精油は原液でも希釈したものでも飲用しないでください。

海外では飲用する使い方がありますが、飲用するには専門的な知識が必要です。

精油の種類によっては、一度飲用するだけで有害な結果をもたらすものもありますし、摂取量によっては命に係わるものもありますので、絶対に飲用しないでください。

精油を原液で肌につけない

精油は植物の持つ成分が濃縮されたもので、そのまま皮膚につけるには成分が強すぎる場合があります。精油を原液で皮膚につけると皮膚刺激を感じる、皮膚が赤くなるなどのトラブルが起こる可能性があるので、肌につける時はキャリアオイル(植物油)などで希釈して使いましょう。

誤って原液を皮膚につけてしまったときは、ただちにぬるま湯で洗いながしてください。

精油は目に入れない

目は皮膚よりもデリケートですので、希釈した精油であっても目に入れないようにしてください。誤って精油を目に入れてしまった時はただちに水で洗い流し、眼科を受診し医師の指示を仰いでください。

火の近くで使わない

精油は消防法で定める危険物には該当しませんが、揮発性の物質であり、文献によっては引火性があるとされています。コンロや暖房器具の近くでは使わないでください。

光毒性

光毒性とは、特定の精油成分(フロクマリン類)を肌に塗布して紫外線に当たると、皮膚に炎症を起こすことです。柑橘類の精油に多くみられます。

精油を皮膚に塗っただけでは炎症は起こりませんが、精油の成分が紫外線のエネルギーを吸収することで炎症反応を起こします(炎症が生じるのは精油を塗布した部分だけです。)。

光毒性を持つ精油を肌に塗布する場合は、紫外線の少ない夜に使用するか、日中に使用する場合は日焼け止めを塗るなどUVケアをしっかりと行ってください。

光感作

光感作とは、アレルギー(感作)のある成分を含む精油を肌に塗布して紫外線に当たると出てくるアレルギー反応のことです。光感作は紫外線(光)が当たることで成分に化学変化が起きて引き起こされるアレルギー反応で、光アレルギーとも呼ばれています。

光感作はアレルギー反応であるため、反応が起こるかどうかは個人差があります。

一日に使用できる精油の量を守る

精油の成分は鼻腔粘膜や皮膚から体内に入ると、分解されて体外に排泄されます。ですが、大量に使うとうまく排泄できず、体内に蓄積し、体に悪影響を与える可能性があります。

成人であれば、一日6滴以内であれば無理なく排泄できるとされていますので、精油の一日の使用量は最大6滴までとしてください(使い方や精油の種類によって成分がどのくらい吸収されるかについては違いがあり、使った精油がどのくらい吸収されたのか、おおよその数字は出ても、厳密に数字を出すことはできません。ただ、厳密に何滴分吸収されるかはわからないけれど、仮に100%吸収されたとしても1日に6滴以内であれば問題ありません。)。

使用前にアレルギーテストをする

精油を肌につけて使う時は、使用したい濃度に希釈した精油を二の腕の内側など目立たない場所に少量つけて10分程度おき、肌に異常が起きないか確認してから使うことをおすすめします。

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精油を使う時に特別な注意が必要な人

下記に該当する方は、精油を使う際に特に注意が必要です。
精油の成分への反応は個人差がありますし、その日の体調によっても変わります。
精油を使用して、気分不快を感じたときはただちに使用を中止してください。

・妊娠中の方
精油の中には、流産を引き起こす可能性があるのではないか、胎児に悪影響を与える可能性があるのではないか、とされているものもあります。
精油を使う際は妊娠中の使用が禁忌となっていないか確認してから使いましょう。

・授乳中の方
精油の中には、乳児に悪影響を与える可能性があるのではないか、とされているものもあります。出産直後、授乳中は使用しないでください。

・高齢者
高齢者は体の代謝機能が低下しているため、精油の成分をうまく代謝できず体内に蓄積してしまう可能性があります。
精油の使用による危険性が高いわけではありませんが、指定されている濃度よりも低い濃度で使うことをおすすめします。

・小児、乳幼児
1歳未満の乳児は精油の使用は控えてください。
1歳から7歳の幼児は0.5%以下、8歳から14歳は1%以下の濃度に希釈して使用してください。
いずれの年齢に関しても、使用が禁忌となっていないか精油の情報を確認してから使ってください。

・敏感肌の方
敏感肌の方は、皮膚刺激の強い精油でなくても皮膚に刺激を感じる場合があります。
精油を使う時は、注意事項を確認し皮膚刺激が指摘されているものは避けてください。
皮膚刺激がない精油であっても、初めて使う時は指定されている濃度よりも少ない量から試すことをおすすめします。

・アレルギー体質の方
精油は植物から抽出されたものですので、肌につけることで植物によるアレルギーを引き起こす可能性があります。特定の植物のアレルギーを持っている方は、その植物から抽出された精油は使わないでください。
アレルギー体質の方は、肌に精油をつけて使う前に、使用したい濃度に希釈した精油を二の腕の内側など目立たない場所に少量つけて10分程度おき、肌に異常が起きないか確認してから使うことをおすすめします。

・病気の治療中の方
病気の治療中の方は、主治医に相談してから精油を使用してください。

ペットとアロマ

精油をペットに使えるかどうかは、動物の種類によって異なります。

犬は精油の成分を体内で無毒化し、体外に排泄できるため精油を使ってよいとされ、猫やフェレットはこれらができないため精油の使用が禁止となっています。

ただ、犬に精油を使う際は人間と同じ使い方ができるわけではなく、ペットアロマに関する専門的知識が必要です。

間違った使用はペットの健康に悪影響を与えることがありますので、自己判断で使うことはせず、かかりつけの獣医に相談してから使ってください。

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