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オレガノはスパイシーでありながら、少し薬のような匂いも感じられる個性的な香りを持つ精油で、とても優れた抗菌作用、殺菌消毒作用を持っています。
しかし、皮膚刺激の強い成分を多く含んでおり、アロマセラピーに使用することに適しているかどうかは、専門家の間でも意見がわかれています。
そのためオレガノは、アロマセラピーに使うことが禁止されているわけではありませんが、活用するには十分な知識が必要な上級者向けの精油です。初心者向けではありません。
とはいえ、他にも、抗菌作用や殺菌作用があり、安全性の高い精油はありますので、活用の場が多いというわけではありません。
ここではオレガノとはどのような植物か?使い方の歴史、オレガノの精油の香りや特徴、作用、使い方・活用法やブレンドレシピ、使用する時の注意点・禁忌などを紹介します。
オレガノってどんな植物?
オレガノは、シソ科の植物でオリガナム、ワイルドマジョラム、花薄荷とも呼ばれています。
草丈は30㎝~90㎝位で、夏になると茎の先端にピンク色の小花が集合するような形で咲きます。
オレガノはその花の可愛らしさから花束やドライフラワー、リースの花材としても人気のある植物です。
丈夫で育てやすい植物なのですが、他の種類の植物と交雑(※1)しやすく近縁種((きんえんしゅ)※2)が多いため、種類の把握や種類の区別をつけることが難しい植物でもあります。
※1 別の種、または別の品種の雌と雄とをあわせて雑種が作られること。交雑することで他の植物の遺伝子が混ざったオレガノになってしまい、本来のオレガノとは違う香りになったり、香りが弱かったり、微妙に見た目が違ったり、などの変化を起こします。
純正のオレガノなのか、他の植物と遺伝子が混ざってできたオレガノのようなものなのか判別は難しいと言われています。
※2 生物の分類上、近しい関係にある複数種の生物同士。どの程度まで近い関係かまでは定義付けされていない。
オレガノの名前の由来
オレガノの名前の由来はギリシャ語で山の喜びという意味のoros ganos(オロス・ガノス)であると言われています。
オレガノの使い方・活用法の歴史
オレガノは古代ギリシャでは香油として髪の毛につけられたり、頭皮のマッサージに使われていたと言われています。
また、当時オレガノは幸福のシンボルとして扱われており、結婚式をする時には幸福を願って新郎新婦の花冠に使い、人が亡くなった時にはお墓にオレガノが生えてくると永遠の幸福な眠りについたのだと考えられていたとも言われています。
ただ、オレガノとその近縁種であるスイート・マジョラムが混同されていたのではないか、とも言う説もあり、幸福のシンボルはオレガノなのか、スイート・マジョラムなのか定かではありません。
古代エジプトにおいては、オレガノはミイラ作成に使われていたと言われています。オレガノの持つ殺菌作用がミイラの腐敗予防に活用されたのではないかと考えられています。
中世ヨーロッパになるとオレガノは貴婦人たちの手洗い用の水に入れたり、匂い袋に入れるハーブとして使われていたそうです。
現在はオレガノは料理に欠かせないハーブとして活用されています。が、古くから消化不良や喉の不調、リュウマチや歯痛、頭痛、生理痛の緩和に良いハーブティーとしても活用されています。
さらに、オレガノは近年、観賞を目的とした品種も開発され販売されています。このオレガノは料理に使うことはできないのですが、葉や花が淡いピンクとグリーンの美しい色合いで見た目の美しさはもちろん、ほのかな香りも楽しめるので人気の植物となっています。
オレガノ精油の特徴
オレガノ精油の抽出方法
オレガノの精油は花が開花した時に、花の付いた状態の葉を乾燥させ、蒸気蒸留法で抽出します。精油の色は薄黄色~褐色です。
オレガノ精油の香りの特徴
オレガノはスパイシーな香りに加え、樟脳に似ている香りも持っています。またフェノールという薬品を思わせるような匂いを持つ成分を多く含んでいるため、少し薬のような匂いも感じられます。
香りの強い精油ですので、ブレンドする時は他の精油よりも少なめに使うことで香りがまとまりやすくなります。
オレガノ精油の安全性
オレガノにはカルバクロール、チモールという成分が多く含まれています。
これらの成分は抗菌作用などを持ってはいるのですが、刺激性が強く神経毒性が示唆されている成分ですので使用には注意が必要です。
オレガノの精油を抽出できる植物の品種はいくつかあるのですが、その品種によって成分の含有量が大きく異なると言われています。その為、成分の含有量について一概には言えないのですが、多いものではこの2つの成分が全成分の80%近くを占める場合もあるとされています。
オレガノの精油を抽出できる植物の品種は数多くあり、その全てを把握することは難しいのですが、アロマセラピーにおいては学名が「Origanum vulgare」と記載してあるものを使用することが一般的です。
アロマセラピーにおいて、オレガノは毒性が強いグループの精油であり、本によっては、オレガノはアロマセラピーでの使用は控えるべき、としているものもあります。そのため注意点を理解し、慎重に使うことが必要な精油です。
オレガノ精油の香料・原料データ
英名 | Oregano オレガノ |
和名 | はなはっか(花薄荷) |
学名 | Origanum vulgare |
別名 | オリガン、オリガニウム、ワイルドマジョラム |
科名 | シソ科 |
産地 | スペイン、イタリアなど |
精油の抽出部位 | 花、葉 |
ノート * | ミドル |
精油の主な成分 | カルバクロール、チモール、p-シメン、カリオフィレン、リナロールなど |
ブレンド相性 | バジルやフェンネルなどのハーブ系、カルダモンやクミンなどのスパイス系と相性が良いです。 |
*ノートは精油の揮発する時間や香りの持続する時間を表すものです。香り立ちが最も早いが持続時間が短いトップノート、香り立ちはゆっくりだが長い時間香り続けるベースノート、ちょうど中間の性質を持つミドルノートの3つに分類されます。
オレガノの活用法
オレガノだけでも香りを楽しめますが、他の精油を加えることでより香りが豊かになります。ブレンドにおすすめの精油も併せて紹介していますので、基本のレシピに足して使ってください。
なおレシピを活用する際は、オレガノの使用時の注意事項、ブレンドとして加える精油の使用時の注意事項のいずれかに該当する項目がないかどうか確認してください。
精油の成分に対する体の反応には個人差があります。気分不快を感じた場合は使用を中止してください。
芳香浴
精油の香りを室内に拡散させ香りを楽しむ方法です。
【レシピ】
オレガノ・・・1滴
コットンに精油のオレガノを垂らす、もしくはアロマデフューザーを使って香りを拡散させます。
【おすすめのブレンド】
カルダモン・・・1滴
カルダモンは肌につくと皮膚刺激を与える可能性がありますので、肌につけないようにしてください。
ルームスプレー
部屋中に香りを拡散させ香りを楽しむ方法です。スプレーを使う時はその都度、瓶をよく振ってください。スプレーは肌にはつけないようにしてください。
【レシピ】
精製水・・・8ml
無水エタノール・・・12ml
オレガノ・・・2滴
無水エタノールに精油のオレガノを混ぜ、その後精製水を加えてよく混ぜます。混ぜ合わせた液体をスプレー式の遮光瓶に入れて使ってください。遮光瓶は風通しがよく、直射日光の当たらない涼しい場所に保管してください。スプレーは2週間程度で使い切ってください。
【おすすめのブレンド】
ジンジャー・・・5滴
ジンジャーは肌につくと皮膚刺激を与える可能性がありますので、肌につけないようにしてください。
オレガノの禁忌・注意点
・妊娠中、授乳中の方
オレガノは刺激の強い精油です。また、神経毒性が示唆される成分が含まれていますので妊娠中、授乳中の方は使用を控えください。
・小児・乳幼児への使用
刺激の強い精油です。小児や乳幼児への使用は控えください。
・肌につけて使う時
オレガノは刺激の強い精油ですので、高濃度での使用は控え、使用する時は植物オイルなどで1%以下に希釈して使用しください。
敏感肌の方やアレルギー体質の方は使用を控えてください。
使用している時に肌に異常を関したら、すぐにぬるま湯で流してください。
・継続して使いたい時
多量に使用することや、長期間連用することで肝臓に負担がかかったり、めまいなどを引き起こす可能性があります。
使用する時は適正な濃度に希釈して、連用する時は長くても2週間程度としてください。