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ダグラスファー(Douglas fir)の名前には英語で樅(もみ)を意味するfir(ファー)という言葉が入っていますが、モミ属ではなくトガサワラ属というグループの樹木です。
日本では樹木としては馴染みがありませんが、米松(ベイマツ)という名前で建築資材として広く活用されています。
精油についてはダグラスファーはあまり流通していませんが、松葉にほんのりレモンが加わったような爽やかな香りで、気分をリフレッシュしたい時や感覚を研ぎ澄ませたいいときに良い香りとされています。
ここではダグラスファーとはどのような植物か?ダグラスファーの精油の香りや特徴、使い方・活用法や、使用する時の注意点などについて紹介します。
ダグラスファーってどんな植物?
ダグラスファーは北アメリカ原産の常緑針葉樹で、現在はイギリスやフランス、オーストラリア、ニュージーランドなどに生息しています。
ダグラスファーの大きさは一般的には樹高50m、幹回り1.5m程度ですが、樹高100m、幹回り4~5m程度にまで育つものもあり、世界最大樹種の1つであると言われています。
葉は松葉に似た針のような形で、樹皮は表面がザラザラとしており、樹皮を引っ張ると縦に裂けます。
花は濃いピンク色で、花が終わると球果と呼ばれる松ぼっくりのような形の実を実らせます。実の大きさは5~10㎝程度です。
ダグラスファーの名前の由来
ダグラスファーのダグラスとは、新種発見の報告としてダグラスファーの種と標本を英国王立園芸協会に送り届けた植物学者のダグラス博士の名前が由来となっています。
ダグラススファーの第一発見者はダグラス博士ではなく植物学者のメンチェス博士でしたが、メンチェス博士は新種発見の報告をしなかったため、新種の名前にはダグラス博士の名前が使われることになったと言われています。
樅を意味するファーが使われるようになった理由は、樅の木に似た見た目をしているからではないか、と言われています。
ダグラスファーの使い方・活用法の歴史
ダグラスファーはいつから活用されているかは不明ですが、原産地である北アメリカでは、葉や枝を風邪やリウマチ、性病や頭痛、腹痛に効く薬として、枝はかまどの燃料に、樹脂は水がめの水漏れを防止する塗料に活用していたそうです。
18世紀頃にヨーロッパへ伝わり、主に建築資材として活用されるようになりました。
日本に伝わったのは1853年、黒船来航の際にアメリカのペリー提督がダグラスファーの材木を幕府への献上品として持ち込んだことが始まりであると言われています。
当時ペリー提督が乗ってきた黒船の甲板にはダグラスファーが使われており、日本でもそれを真似て軍艦の甲板にダグラスファーを使うようになったそうです。
明治時代になるとダグラスファーはメリケンマツと呼ばれ、電柱や線路の枕木、建築資材として活用されるようになったそうです。
現在は世界各地で主に建築資材として活用されていますが、樅の木に似た見た目をしているため、クリスマスツリーとしても活用されています。
ダグラスファー精油の特徴
ダグラスファー精油の抽出方法
ダグラスファーの葉や枝から水蒸気蒸留法で精油を抽出します。精油は薄い黄色~無色です。
ダグラスファー精油の香りの特徴
松葉の爽やかな香りに、ほのかにレモンの香りが加わったような香りです。
ダグラスファーの香料・原料データ
英名 | Douglas fir ダグラスファー |
和名 | 米松 ベイマツ |
学名 | Pseudotsuga menziesii プセウドツガ メンジエーシィ |
別名 | アメリカマツ、メリケンマツ、アメリカトガサワラ、オレゴンパイン、コロンビアパイン |
科名 | マツ科 |
産地 | カナダ、ニュージーランド、フランスなど |
精油の抽出部位 | 葉、枝 |
ノート * | トップ~ミドル |
製油の主な成分 | α-ピネン、β-ピネン、リモネン、サビネン、テルピノレン、δ-3-カレンなど |
ブレンド相性 | レモンなど柑橘系の香りやフランキンセンスなど樹脂系の香りと相性が良いです。 |
*ノートは精油の揮発する時間や香りの持続する時間を表すものです。香り立ちが最も早いが持続時間が短いトップノート、香り立ちはゆっくりだが長い時間香り続けるベースノート、ちょうど中間の性質を持つミドルノートの3つに分類されます。
ダグラスファーの活用法
ダグラスファーだけでも香りを楽しめますが、他の精油を加えることでより香りが豊かになります。ブレンドにおすすめの精油も併せて紹介していますので、基本のレシピに足して使ってください。
またレシピを活用する際は、ダグラスファーの使用時の注意事項、ブレンドとして加える精油の使用時の注意事項のいずれかに該当する項目がないかどうか確認してください。
精油の成分に対する体の反応には個人差があります。気分不快を感じた場合は使用を中止してください。
芳香浴
精油の香りを室内に拡散させ香りを楽しむ方法です。
【レシピ】
ダグラスファー・・・2滴
コットンに精油のダグラスファーを垂らす、もしくはアロマデフューザーを使って香りを拡散させます。
【おすすめのブレンド】
フランキンセンス・・・1滴
フランキンセンスは使用上の禁忌事項は特にありません。
ルームスプレー
部屋中に香りを拡散させ香りを楽しむ方法です。スプレーを使う時はその都度、瓶をよく振ってください。スプレーは肌にはつけないようにしてください。
【レシピ】
精製水・・・8ml
無水エタノール・・・12ml
ダグラスファー・・・5滴
無水エタノールに精油のダグラスファーを混ぜ、その後精製水を加えてよく混ぜます。混ぜ合わせた液体をスプレー式の遮光瓶に入れて使ってください。遮光瓶は風通しがよく、直射日光の当たらない涼しい場所に保管してください。スプレーは2週間程度で使い切ってください。
【おすすめのブレンド】
レモン・・・10滴
レモンは肌につくと皮膚刺激を与える可能性がありますので、肌につけないようにしてください。
ダグラスファーの禁忌・注意点
・妊娠中、授乳中の方
ダグラスファーに危険性が高い成分は含まれていませんが、文献によっては妊娠中、授乳中の使用が禁忌となっております。使用データの少ない精油でもありますので、妊娠中、授乳中の方は使用を控えてください。
・敏感肌の方
ダグラスファーにはα-ピネンやリモネンなど皮膚に刺激を与える可能性のある成分が複数含まれていますので、敏感肌の方は肌につける使い方は控えてください。