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ケードはヒノキの仲間で、木部を乾留(空気を遮断して高温で加熱)することでタールと呼ばれる粘り気の強い油のような物質を採取することができます。
タールには体に有害な物質が含まれており、そのままの状態では使うことができませんが水蒸気蒸留すると有害物質が取り除かれるため、蒸留したものが精油として使われています。
ケード精油は木を焦がしたような独特の香りで、心を落ち着けたい時、安定させたい時に役立つ香りとされています。
ここではケードとはどのような植物か?使い方の歴史、ケードの精油の香りや特徴、作用、使い方・活用法、使用する時の注意点などについて紹介していきます。
ケードってどんな植物?
ケードはフランス原産の針葉樹で、現在はヨーロッパ、アジア、北アフリカに分布しています。
樹高は1〜4mに成長するものが一般的ですが、生育環境によって10mを超える高木に成長するものもあります。
樹皮は赤褐色で、成長するにつれ縦方向の亀裂が入り表面が薄く剥がれていきます。
枝は細く、枝全体に長さ2.5cm程度の針のような形の葉が密集して生えています。
葉の付け根に小さな花が咲き、花が終わると球果と呼ばれる丸い果実が実ります。
球果は小さいうちは緑色で、成熟するにつれ明るい茶色になっていきます。
ケードの使い方・活用法の歴史
ケードは紀元前3500年頃繁栄していたシュメール人に神聖な木として扱われ、神様への捧げ物として活用されていたと言われています。
古代ギリシャ時代になると皮膚トラブルや寄生虫の予防を目的として薬として活用されるようになったそうです。
ケードはこの頃にギリシャからエジプトに伝わったと考えられています。エジプトでの活用法は不明ですが、エジプトの王の墓が発掘された際に、墓の中からケードの実が発見されています。
中世ヨーロッパになり、同じヒノキ科の樹木であるジュニパーを使ったジンというお酒が流行した際、ジュニパーが育たない地域はケードを使ってジンを作っていたそうです。
現在は主にヨーロッパで石鹸などの生活用品や香水用の香料として活用されています。
ケード精油の特徴
ケード精油の抽出方法
ケードの木部や小枝から採取したタールを水蒸気蒸留法して精油を抽出します。精油はオレンジ〜黒褐色です。
ケード精油の香りの特徴
ヒノキの木材を少し焦がしたような香りです。スモーキーな香り、レザーノート(革製品のような香り)と表現されることもあります。
ケード精油の香料・原料データ
英名 | Cade ケード |
和名 | ケード杜松(ケードネズ) |
学名 | Juniperus oxycedrus ユニペルス オキシケドラス |
別名 | ケードジュニパー |
科名 | ヒノキ科 |
産地 | フランス、インドなど |
精油の抽出部位 | 木部、小枝 |
ノート * | ベース |
精油の主な成分 | δ-カジネン、キュベノール、α-ムウロレン、β-カリオフィレン、ゾナレン、α-コパエンなど |
ブレンド相性 | レモンなど柑橘系の香りやシルバーファーなど樹木系の香りと相性が良いです。 |
*ノートは精油の揮発する時間や香りの持続する時間を表すものです。香り立ちが最も早いが持続時間が短いトップノート、香り立ちはゆっくりだが長い時間香り続けるベースノート、ちょうど中間の性質を持つミドルノートの3つに分類されます。
ケードの活用法
ケードだけでも香りを楽しめますが、他の精油を加えることでより香りが豊かになります。ブレンドにおすすめの精油も併せて紹介していますので、基本のレシピに足して使ってください。
レシピを活用する際は、ケードの使用時の注意事項、ブレンドとして加える精油の使用時の注意事項のいずれかに該当する項目がないかどうか確認してください。
精油の成分に対する体の反応には個人差があります。気分不快を感じた場合は使用を中止してください。
芳香浴
精油の香りを室内に拡散させ香りを楽しむ方法です。
【レシピ】
ケード・・・1滴
コットンに精油のケードを垂らす、もしくはアロマデフューザーを使って香りを拡散させます。
【おすすめのブレンド】
シルバーファー・・・2滴
シルバーファーは肌につくと皮膚刺激を与える可能性がありますので、肌につけないようにしてください。
ルームスプレー
部屋中に香りを拡散させ香りを楽しむ方法です。スプレーを使う時はその都度、瓶をよく振ってください。スプレーは肌にはつけないようにしてください。
【レシピ】
精製水・・・8ml
無水エタノール・・・12ml
ケード・・・5滴
無水エタノールに精油のケードを混ぜ、その後精製水を加えてよく混ぜます。混ぜ合わせた液体をスプレー式の遮光瓶に入れて使ってください。遮光瓶は風通しがよく、直射日光の当たらない涼しい場所に保管してください。スプレーは2週間程度で使い切ってください。
【おすすめのブレンド】
レモン・・・7滴
レモンは肌につくと皮膚刺激を与える可能性がありますので、肌につけないようにしてください。
ケードの禁忌・注意点
・妊娠中の方
ケードは文献によっては妊娠中の使用が禁忌となっています。妊娠中の方は使用を控えてください。
・皮膚への使用について
ケードは使用濃度によっては皮膚に炎症を起こす可能性があるとされています。皮膚に塗布する使い方をする場合は0.2%程度に希釈することが推奨されています。